音という現象は○○をイメージすると理解しやすい

耳が尋常じゃなくよく聞こえるキャラクターっているじゃないですか。そんなキャラを、わたしも書きたいと思って色々調べました。現実問題、物理的にどこまでが可能で、どこまでがファンタジーかちゃんと知りたかったので。

調べてみると……なるほど、これは、色々なところに応用が利く役に立つ勉強ができたなーと、ココロ踊りました。

目次

音波を正しく理解する

音という現象を調べると必ず登場するのが、なんかうねうねした波形です。なんとなく表したいことは分かるのですが、ちゃんとは分からない。ちゃんとわかっていない物を使って説明されても、結局、音のことは良く分からない。まず、あのうねうねした波形を理解する必要がありました。

そこで、重野純が『音の世界の心理学』で書いている音波の説明がとても分かりやすかったです。

「空気中の粒子が次々と空気を押しやり進んで行く。この時、空気中に粗いところと密なところが次々と作られ、粗密波ができる。これが音波(sound wave)である」

重野純『音の世界の心理学』(p9)

つまり、空気の密度が高くなっている部分が、あの波形の波の高い部分で、空気の密度が低い部分があの波形の波の低い部分で表されている、ということです!

理系が苦手なわたしは、波形のグラフを見ると、空気の振動って、「空気の粒子が上下にぷるぷる震えている」状態をイメージしてしまっていました。そのぷるぷる震える早さが波形に表されているのかなーと、ざっくり。

ですが、実際は「空気の粒子の粗いところと密なところ(粗密波)が空気を押しやり進んでいく」ことなのですね。

空気の振動を感知している、というよりも、空気の粗密波の粗密度合いを感知しているといった方がなんだか分かるような気がします。

音の伝わり方

伝わる速さは空気、水、物体の順で早くなります。固いものほど速く伝わる感じでしょうかね。

周囲の環境によって、音の響き方は変わりますよね。隣の部屋の音が聞こえたり、防音室の中の音は外に漏れにくかったりもします。音には、反射、屈折、回折、透過、吸収の性質があるからだそうです。

反射

壁を目の前にしてしゃべった時と、目の前になにもない場所でしゃべった時は、聞こえ方が違います。やまびこも、山に声がぶつかって跳ね返ってくる現象ですよね。

密度が高くて質量が大きい物ほど、音を反射するようです。コンクリートに覆われたトンネルの中だと、音が反射して、よく響きますよね。

吸収

音を反射しやすい物質とは逆に、密度が低くて質量が小さい物、つまりふわふわした物(布団とかコットンみたいなもの)は音を吸収しやすいそうです。音を吸収しやすい物体があると、聞こえる音は響かなくなり、小さくなります。

吸音材には、クッション性のあるものや、凹凸や穴がたくあるものが使われているのを見かけますね。

屈折

音の屈折ってなんだかピンときませんが……。光の屈折は馴染みがあります。同じように音も屈折するようです。

音の屈折は、温度が関係するんだとか。これは、音の屈折が、音速の違いで起こるからです。空気より水の方が音が早く伝わるので、空気と水の断面で音の屈折はがおこります。

温度が上がると音速も上がります。地表と上空の温度差によって音が屈折して、うんぬんかんぬん(ちょっと複雑……)で、寒い日には、街のより遠くの音が聞こえるんだとか。

回折

家の西側の窓からでも、家の東側で鳴っている音が入ってきます。部屋のドアが開いていると、見えなくてもドアの向こうの会話が聞こえることがあります。

音源の手前に「ついたて」のような遮るものがあっても、開いているところがあれば、「回折」という文字通り、音は空気中を折れ曲がったり回り込んだりして広がります。

透過

密閉された空間の中にいても、防音が施されていなければ、外の音が聞こえます。同様に、外にいても中で鳴らした音が聞こえます。

壁や物体に当たった音は、ある程度、反射されたり吸収されたりします。でも、反射も吸収もされなかった音は一定程度、物体を通り抜けます。

触覚で感じることができる音

「音源から出た音を、空気を介して聞いている」という現象はイメージしやすいです。「音源→空気→耳」ですね。また、 「音源→空気→物体→空気→耳」という場合もありますね。 隣の部屋の人が音楽を聴いていて、隣の壁越しにその音楽が聞こえるとか。2階の住人が、イスを引いた音が床に響いて天井から聞こえてくるとか。

では、「音源から出た音が、床や壁を振動させ、その振動を肌で感じ取る」という現象はどうでしょう。

壁や床などの物に伝わっている振動は、手で触ると感じることができます。耳で聞く以外にも、音を感知できるというのが興味深いです。そしてこの時、壁や床は全体が空気を振動させる、ひとつの音源のようになっています。だから、隣の部屋の音楽が聞こえる「音源→空気→物体→空気→耳」といった現象も起きるのすね。これが音の透過でしょうか。

まとめ:音の性質は、水を見ると分かりやすい

人間は視角優位の生き物だそうです。確かに、見える物の方が理解しやすいですよね。音の性質が波であると言うのなら、もうシンプルに波つまり水を観察すれば、音の性質は理解しやすいのかなと思います。

   

《参考文献》

重野純『音の世界の心理学』ナカニシヤ出版社 2014

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